『月に囚われた男』 ('11初鑑賞152・WOWOW)

☆☆☆★- (10段階評価で 7)
11月2日(水) WOWOWシネマの放送を録画で鑑賞。
解説:
地球に必要不可欠なエネルギー源を採掘するため月の基地に滞在中の男が奇妙な
出来事の数々に遭遇するSFスリラー。
デヴィッド・ボウイの息子ダンカン・ジョーンズが初監督に挑み、男の悲しく恐ろしい運命
を描く。『フロスト×ニクソン』のサム・ロックウェルが一人劇に挑むほか、ロボットの声を
ケヴィン・スペイシーが担当。
500万ドル以下の低予算映画ながらもダイナミックなスリルが味わえる、ジョーンズ監督の
大胆な演出が光る一作だ。
あらすじ:
サム(サム・ロックウェル)は地球で必要なエネルギー源を採掘するため、3年間の契約で
月にたった一人で滞在する仕事に就く。
地球との直接通信は許されず、話し相手は1台の人工知能コンピュータ(ケヴィン・スペイシー)
だけの環境だったが、任務終了まで2週間を残すある日、
サムは自分と同じ顔をした人間に遭遇する。
(シネマトゥデイ)

これより先に『ミッション:8ミニッツ』を観たので、順番が逆になってしまいました。
ダンカン・ジョーンズの初監督作品です。
ほぼ全編にわたり、サム・ロックウェルの独り芝居で物語が進行していきます。
3年間、月に単身赴任。 しかもたった独りだけ。
話し相手はコンピューターのガーティ(声の出演:ケヴィン・スペイシー)。
自分やったら、気が狂ってしまいますわ。
おもしろいなぁと思ったのは、主人公を派遣してる会社が韓国の企業だということ。
それに月で採掘してる資源の名前が「サラン」。 韓国語で「愛」。
月の採掘基地の部屋の内装には、ハングル文字が描かれています。
一昔前のアメリカ製SF映画では、日本企業が黒幕として描かれていることが
多かったですが、(『エイリアン』シリーズの「ウェイランド湯谷」が有名ですね)
これも時代の流れでしょうか。
以下、ネタばれ あります。
さてさて、ストーリーの進行とともに、主人公がクローンであることが解ります。
3年契約ということになっていますが、実際は3年過ぎると、焼却され一瞬で灰に。
そしてあらたなクローンを目覚めさして、また3年契約と騙して、労働を強いる・・・
だが、あるトラブルがきっかけで、そのことに気付いた主人公サムは、
もう一人の自分と協力し、地球に戻る計画をたてます。
彼らの計画は成功するのか?
こんな非人道的なことを強いるのは会社の人間、サムたちを抹殺しようと宇宙船に
乗ってやってくるのも人間。
そんななかで、コンピューターのガーティだけが、もっとも人間的な行動をとるのが
皮肉ですよね。
最初は『2001年宇宙の旅』のHALを連想させて、このコンピューターが暴走するのか
と思いきや、暴走してるのは人間のほうでした。
サムにパスワードを教えるガーティの指の動きが、妙に信頼感を感じさせていました。
ラストはナレーション(ニュースの音声)で、この企業が社会的制裁を受けたことが
明らかになります。
たんなるSFではなくて、様々な要素が入り乱れ、ラストには社会派の片鱗も見せて
くれた、ダンカン・ジョーンズ監督、やはりただものではないですね。(^-^)
ジャズっぽいテーマ曲も耳に残ります。

2009年/イギリス/97分/シネスコ/
監督:ダンカン・ジョーンズ/脚本:ネイサン・パーカー/
出演:サム・ロックウェル、ケヴィン・スペイシー、ドミニク・マケリゴット、カヤ・スコデラーリオ/

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